2024年08月一覧

月を詠んだ和歌/百人一首86/恋歌/嘆けとて月やはものを思はする

この和歌は百人一首の中の恋歌のひとつです。ただ、恋歌にしては情熱は乏しく、愛情表現も無く、心の内へ内へと内省しているようです。この記事では百人一首の他の恋歌も併記して、正直私の感想なのですが ”この恋歌が表現している控え目な恋心” を伝えたいと思いました。あくまで私個人の感想です。

月を詠んだ和歌/百人一首79/秋の月/秋風にたなびく雲の絶え間

秋の夜空、たなびく雲の絶え間から時折りのぞく月の光。その月の光の、なんて清々しくてきれいなことでしょう・・。難解な古語は使われていません。秋の夜空に浮かぶ月と雲が織り成す情景を、とても分かりやすく伝えています。百人一首には「月」を詠んだ歌が11首ありますが、そのうちの最も理解しやすく味わいやすい情景歌だと思います。

月を詠んだ恋歌/百人一首59/傾く月/やすらはで寝なましものを

月を素材にして時間の経過を伝え、「待っていても来ない恋人」への失恋の思いをさりげなく伝えている恋歌、百人一首の第59番歌です。内容を探ると、平安時代の男女間の慣習を伝えてくれる歌でもあります。そしてさらに、”恋心に諦観を伴うその時、その恋は既に過去の産物である” ことも教えてくれています。

月を詠んだ和歌/百人一首36/夏の月/雲に宿る月/夏の夜はまだ宵

百人一首の、夏の夜、夏の月を詠んだ歌です。この歌の作者は枕草子に「夏は夜。月のころはさらなり」と書き綴った清少納言の曾祖父です。清少納言はこの歌を思い出して、もしも「夏の夜」「月」を書けば ”ひいお爺ちゃんが、あの世で喜んでくれるかもしれない" と思ったのかもしれません。もしも~は鑑賞の楽しみを豊かにしてくれます。