懐かしいもののひとつに学校の授業があります。
中でも国語の、詩や漢詩、短歌の授業は、心に響く時と響かない時の差が大きく、掴みどころのない難しい時間だったように記憶しています。先生は教えるのに難儀したのではないでしょうか。
そんな国語の授業を振り返りながら、心の片隅に今もある詩の文句、例えば「国破れて山河あり~」などを辿り、詩や漢詩、短歌の、鑑賞方法と理解の仕方について記していきたいと思います。

この頁を読んで下さっている方が、もしも、今教壇に立って詩歌を教えている先生であるならば、「こういう生徒もいるんだ」という事実を知って、詩歌の教え方のひとつのヒントになって下されば幸いでございます。
受験用の授業も必要かもしれないけれども、それよりも、生徒ひとりひとりの感性を大事にしてほしい…そう思います。

(画像はイメージです/出典:photoAC)
【詩歌を求める動機】
<中学2年のときの出来事>
私が初めて短歌に出会ったのは中学2年の時です。
「働けど 働けど 猶わが生活 楽にならざり ぢっと手を見る(石川啄木)」に出会ったのもこの頃です。
教科書には、数人の作家の作品が全部で20編ほど載っていました。そして、最初の授業で、先生は宿題を出しました。
「これらの短歌から3首選んで、作者は何のどのような情景を歌ったのか、そして何を伝えたかったのか、想像しながら書いてきなさい」
私に与えられた情報は、殆どの生徒が同じだったと思うのですが、その三十一文字と、教科書の欄外に載っていた簡単な注釈のみ。参考書や関連図書などはありませんでした。
私は自宅で机に向かい、それらの三十一文字から想像できることを文章に組み立てて一生懸命に書き、そして次の授業で提出しました。
そうしたら、先生は私が書いた短歌の解釈を授業で読んでくれて、「想像力があっていいね」とほめてくれたのです。私は、嬉しくなって、短歌が好きになりました。
ずっと後になって分かったのですが、私が一生懸命に考えた解釈は、どの解説書にもどの参考書にも載っていない、誰もそんな解釈はしていない、入学試験の解答ならば✖になる、私だけのオリジナルでした。それでも、先生は、ほめてくれたのです。
その時、私は思いました。
あっ!
感じたままでいいんだ!
自分だけの正解、それでいいんだ!
こんな自由なことはありません。
短歌っていいなあ~
そしてわたしは、
短歌や詩の授業が好きになりました。

(画像はイメージです/出典:photoAC)
<高校3年のときの出来事>
私が高校3年、詩の授業でのことです。先生は私を指して言いました。
「かとうくん、作者は、この時どのような気持ちだったと思いますか?」
私は、その詩を読んで自分が感じたことを述べました。
その時、先生は私の返答に対して何と言ったと思いますか?
そうしたら先生は、
「それは、違います」
と言ったのです。
私の気持ちは、
えええええぇ~!うっそォ!
です。

(画像はイメージです/出典:photoAC)
詩を読んで、どう思ったかを素直に述べただけなのに…「それは違います」は、ありませんよねぇ!
そういう先生の返事に、私はとてもショックを受けました。
後々考えなおせば、先生は受験用の授業をしていたのです。私は薄々とは感じていましたが、心身は納得していませんでした。
そして、それからしばらくの間、詩歌を味わうことから離れました。大学受験の時でさえも、詩歌だけは授業で受けた納得できない気持ちが尾を引いていて、勉強から外していたくらいです。
でも、私には、中学生の頃に味わった「ほめられた」という自己肯定感が、そのいい記憶が長い間しっかり残っていました。
なので、長い時間はかかりましたが・・・、
「詩に正解はない。感じたままでいいんだ」と思い直し、再び詩歌に接するようになりました。

この頁には、教科書に載っていた詩歌や漢詩を再読して、解釈したり感じたことを書き留めた記事のタイトルが一覧となっています。ご一読頂ければ幸いです。
ただ、あまりにも…あまりにも有名な、例えば宮沢賢治の「雨二モマケズ」とか、室生犀星の「故郷は遠きにありて思うのも…(小景異情)」とか、高村光太郎の「道程」とかは、恐れ多くて今だ記事にはしておりません。
高村光太郎については、私の中でどうしても疑問が残ったままになっている「レモン哀歌」を記事にしております。
そのような、私の勝手な心情によりますところ、予めご了承下さいませ。
記事は少しずつ増やしていきたと思います。

(画像はイメージです/出典:photoAC)
1.日本の詩歌
ここは、まだまだ記事を増やしていこうと思います。
1.「在りし日の歌」の中の一編です。季節の移り変わりを人生の感慨に絡めています。
2.七草の花の色に興味を覚え、作者の視点の移り変わりを追ってみました。
山上憶良が万葉集に詠んだ秋の七草、生態から歌のワケを推測してみた
3.大事な千恵子を亡くしたのに、どこか冷静な光太郎.。そこに私は不信感を抱いています。
4.茨城のり子さんの代表作。私はこれを読んで自省し、明日への力を蘇らせています。
茨城のり子「自分の感受性くらい」で反省し自分を見つめ鼓舞する私の方法
5.与謝野晶子さんと中島みゆきさん、同じ七五調の詩があります。そこに詩の鑑賞方法を探ってみました。

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2.漢詩
高校生のとき、漢詩には苦労した覚えがあります。でも大人になって読み返してみたら、言葉の並びがとても美しくリズミカルなことに気が付き、素直に読み解くことができるようになりました。そしてそこには、いろいろな人生模様が描かれていました。
1.「国破れて山河在り~」の冒頭で有名な「春望」を書いた杜甫の五言絶句です。
絶句/杜甫/絶句の英訳から学ぶ漢詩鑑賞方法/悔しさと人生の重さ
2.題は「飲酒」なのに酒は出てこないんですよ。酒飲みだった陶淵明の作品です。
3.李白(701~762年)は杜甫と並び称せられている盛唐の詩人です。
山中問答/李白/漢詩の授業では教えてくれなかった鑑賞の方法/色と動
春日酔起言志/李白/英訳から学ぶ漢詩の鑑賞/なぜ酒を飲むのか?
4.戦争を忌み嫌うのは、世界中の誰でも、いつの時代でも同じです。
子夜呉歌/李白/厭戦気分を詠んでいる漢詩/教科書でおぼえた名詩より
涼州詞/王翰/厭戦気分を詠んでいる漢詩/教科書でおぼえた名詩より
5.この冒頭は有名ですね。続く言葉は、このような内容です。
6.私はこのように色彩を感じています。言葉から視覚イメージへの広がりを味わえます。

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3.百人一首
百人一首は、以下のページに記事の一覧を掲載しております。

百人一首の世界/恋の歌/人生の歌/季節の歌/日本の名月/桜を詠んだ歌
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百人一首の特徴として、恋歌が多いこと、同じ語句を使った歌が多いこと、この二つが挙げられます。私は、この部分に焦点をあてています。
また、直訳ではなく、あえて意訳を試みました。直訳をきちんと理解しながら意訳を広げていっています。
意訳は、詩歌の味わいや詩歌の楽しみを、よりいっそう広げてくれる、詩歌鑑賞の醍醐味を教えてくれる有効な手段です。

(画像はイメージです/出典:photoAC)
読んでくださり、ありがとうございます。