(画像はイメージです/出典:photoAC)
お客様の心
「聞き手の心理」
(私が実践で得た成果を基に書いています)
セールスの最初の時間、お客様は聞き手側に立ちます。
そして、聞き手には「聞き手の心理」があります。なので、「聞き手の心理」を知ればコミュニケーションを上手くつなぐことができ、販売という成果に繋げることもしやすくなります。
以下にお客様の「聞き手の心理」に共通する事柄を記しました。
1.お客様は、安全安心を求めています。
(例)今月のやりくりが上手くいっていなくて、これ以上の支出にはとても慎重です。
(例)これを買って帰って、家の人に無駄遣いしたって言われたら嫌だと思っています。
・人は、本能的に安全安心を求めています。
例えば、上記のような不安を抱えている状態の時に「こちら、いかがですか?」と迫られても、それは新たなストレスでしかありません。
・なので、お客様はスタッフと話す理由が見つけにくい状態にあります。ただ、それでも、来店されたということは、何かを欲してることでもあります。
お客様がおかれている状態はなかなか分かりません。でも、それを知るか、又は想定してお話しするのが、プロの販売員だと思います。
なので、商品の機能や特性ばかりの話をしないで、そこから少しだけずらした話題もまた大切なことです。この辺りのことは、化粧品販売のスタッフはとても長けていますね。
プロの販売員はそこから、お客様の特性を探ります。そして、お客様のストレスを増やすことなくお話しするのです。
・販売コミュニケーションを繋げていくコツは、お客様の心の平和を優先することです。
2.お客様は、空白を嫌います
(例)「この〇〇〇っていう、紫外線カット99.9%のファンデーション、もうお使いですか?」
(例)「紫外線っていうのは、一年中注がれていて、実は2種類あるのって、ご存じですか?」
・質問を投げかけます。
人の脳は空白(分からないこと、不明なこと)を嫌うので、不安を感じます。なので知りたくなります。なので、その時、「知るまでそこに居る」という、そこにいる理由が生まれます。
つまり、スタッフのあなたと話す理由ができるのです。
・販売コミュニケーションをつなげていくコツは、質問をしてお客様の心に空白を作ることです。(質問の仕方について言えば、最初はクローズドクエスチョンが望ましいです。なぜなら、クローズドクエスチョンはお客様にかかる心理的な負担が少ないからです)
3.お客様は、矛盾を嫌います
(例)「お客様、確認させていただいてよろしいですか。お客様は、少し手間がかかってもいいから美味しいコーヒーをご自宅で淹れたいって、先ほどおっしゃっていましたのでね。わたくし、おすすめしたいのがあるんですよ。これです、これなら、お客様のご要望にぴったりですよ」
・人は矛盾を嫌います。
先に言ったことについて、それを後まで一貫させるように誘導すると、お客様の心は安心します。
なので、安心を与えてくれる”スタッフの喋り”を、心地よく感じ、スタッフの話をさらに聞きたくなります。
・販売コミュニケーションをつなげるのコツは、お客様の心に一本の筋道をつけてさし上げることです。
4.お客様は、同じだと安心します(類似性の法則)
(例)「実は、わたしも、同じことを考えていました」
(例)「◇◇◇を使っていらっしゃるんですね。実は、私も使っているんですよ」
・人は、相手が自分と同じだと(似ていると)安心をして、相手に親近感を覚えます。
なので、さらに話を続けることに苦痛を感じにくくなります。
なので、お客様がもしもその場を立ち去ってしまう時は、その原因としてお客様が安心できる類似性を見つけられなかった・・という分析ができます。
・販売コミュニケーションをつなげるコツは、自分をお客様に似させること、つまり行動でいえば、お客様に共感することです。
「実は、私も同じことを、考えていました」と言われたら、お客様は安心します。安心するから心は緩み、聴く耳が開きます。スタッフの言う言葉が素直に耳に入るようになります。
5.お客様は、実は単純が好きです(焦点化の法則)
(例)「私が知りたいのはですね、これを買っていって家族が喜んでくれるかどうか、ただ、それだけが知りたいんです」
・買い物は学校の勉強ではありません。楽しく、自由でありたいのです。なので、一度に沢山の情報は頭を混乱させて、不安にさせてしまうだけです。
お客様にお伝えする事柄は、お客様の反応を見ながら、お客様が欲しがっていること、お客様が感じることだけに絞ってみる、そういう工夫も必要です。
・販売コミュニケーションをつなげるコツは、提供する情報の量を操作することです。
なのに、多くのスタッフは、商品の説明をしたくてしたくてしょうがないっていう感じで、特に社内で勉強会をした直後などは、お客様に商品説明を一生懸命にされるんですね。でも、情報の過多によって、時にはお客様の耳を塞いでしまっていることも知っておかないといけません。
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まとめると、こうなります。
(1)お客様は安心安全を求めています。
→ お客様の状態(心理、環境、ここにいる理由等)を忖度して、ストレスをかけない話を心掛けましょう。最初から「いかがですか?」とお客様に迫ってはいけません。世間話をするのもコミュニケーションをつなげるテクニックのひとつです。
(2)質問をしてみましょう。お客様はそれを知りたくなります。
→ ただ、質問でストレスを感じさせてはいけません。なので、クローズドクエスチョンから入りましょう。お客様とだんだん、仲良くなれます。
(3)お客様は、筋道が通っていると安心します。
→ お客様の言動はよく観察をして下さい。言動は心の表れです。
もしもお客様が、さっき口にしたことと異なることを口にしたら・・・「お客様、さっきお客様は〇〇〇っておっしゃいましたよね」・・・お客様の心がブレないように誘導してさしあげて下さい。お客様は安心します。
売る側にとって都合のいい「お客様の発言」を見逃さないようにしましょう。
(4)お客様は、スタッフが自分と似ていると安心します。
→ お客様と似ている所を見つけて、お客様に分かってもらって下さい。具体的には共感です。共感は、頷き、オーム返し・・・コミュニケーションをつなげる必須のテクニックです。
もしも、お客様が「高いわ」と言ったら、「そうですよね、高いですよね」と共感しましょう。(ただし、このままでは商売になりません。なので、この場合は「過去形で共感する」というテクニックがあります。別の頁でお話しします)
かつて私は、お客様と名前が同じだということで、お客様に「わたしも加藤っていうんです。名前が同じだから、なんか親近感が湧いて、欲しくなっちゃいました」と言われたことがあります。これも、類似性の法則による事例です。
(5)お客様は、単純で分かりやすいことに安心します。
→ 心理的な負担が少ないからです。つまり、ここにも安心安全を求める人の姿があります。なので、沢山の情報を一度には伝えない・・・お客様の反応を見て、ひとつひとつ大切に、お話ししていきましょう。それでこそ、途中途中の接続に「実は~」や「さらに~」が活きてくるというものです。
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お客様の心理を読んで、お客様の心に寄り添うことが、販売コミュニケーションを活発につなげていくコツです。コミュニケーションがつながれば、販売機会も増えます。
その為にも、
「聞き手心理」を知って、お客様の心に寄り添った営業、お客様の心に寄り添った販売に取り組みましょう。そうすれば、成果はきっと今まで以上にあがります。
☆販売を楽しみましょう!