(画像はイメージです/出典:photoAC)
先日、街のスーツケース売り場で、こんなシーンを見かけました。
スタッフ:「スーツケース、いかがですか?」
お客様 :「今使っているのがあるから、いらないわ」
※スタッフがお勧めしようとしていたスーツケースは、キャスターにストッパー機能がついていて、さらに、そのON/OFFを手元で操作できるという機能がついたスーツケースでした。
(画像はイメージです/出典:photoAC)
そうですよね。今使っているのがあれば、いらないですよね。すぐそばで耳にしながら、私もそう思いました。
もしも、ご自身が販売スタッフだったら・・・。
お客様から「今使っているのがあるから、いらないわ」と言われて、その後、どう対応しますか?
自分の役割はスーツケースを販売すること、その日の使命は販売予算を超えること・・・だったとします。
「今使っているのがあるから、
いらないわ」
A:「あっ、はっ、は、はい・・・・」
・・・それ以上、返す言葉が無い。
B:「そうですよね。今使っているのがあれば、新しいのはいらないですよね。私もそう思います、あははははは」
・・・素直に同意してしまう。
C:「そうですよね。今使っているのがあれば、新しいのはいらないですよね。私もそう思います。ところで、そのスーツケースの使い心地は、いかがですか?」
・・・今使っているスーツケースの難点を思い出させようとする。
D:「そうですよね。今使っているのがあれば、新しいのはいらないですよね。私もそう思います。教えていただいて、ありがとうございます。ところで、お客様、お客様のスーツケースは、キャスターにストッパー機能はついていらっしゃいますか?」
*今使っているスーツケースの難点を思い出させようとするのはCと同じですが、YES/NOで返答できる簡単に答えられる質問で、コミュニケーションをつなげようとしています。
(画像はイメージです/出典:photoAC)
コミュニケーションをつないでいかなければ、販売機会は得られません。なので、「いらないわ」と断られても、お客様との関係を途切れさせないようにしたいですね。なので、AとBの対応だと、なかなか役割も使命も果たすことは、しづらくなります。
そこで、質問が便利です
ただ、やみくもに質問をしても、お客様に嫌がられるだけです。
なので、以下の手順を踏みんでみましょう。
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1.見ていただいたことに、感謝の気持ちを伝える。
2.「~いらないわ」と口を開いてくれたことに、感謝の気持ちを伝える。
3.人は否定されたら気分は良くありません。なので、お客様の気持ちを否定しない。「でも」「しかし」などの否定語は使わないで、共感する。
4.買わなくてもいい、ただ見るだけでいいとお伝えする。買うという視点を遠ざけて、お客様の警戒心を緩くする。
5.お客様がこの場の主役であることを尊重した物言いをする。
6.質問はクローズドクエスチョンを使い、ストレスを感じさせないようにする。
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例Cの、「そのスーツケースの使い心地は、いかがですか?」
⇒ 「いかがですか?」への返答は「わたしは○○と思っています」とか「□□な感じで、△▽のときなんか便利です」とか、文章で返答しないといけません。
話好きなお客様ならいざ知らず、返答は面倒です。また、使い心地? ときかれても、そんなこと、よけいなお世話かもしれません。
また、主観での返答になることにより、機能という客観を示したいスタッフの意向と、同じ立場には立ちにくい状況となってしまいます。
なので、
まだ、仲良くなっていない相手に対するHow~での質問は、お客様に寄り添って話しを合わせていくことを難しくしてしまい、コミュニケーションのつなぎにくい状態が続きます。
例Dの、「キャスターにストッパー機能はついていらっしゃいますか?」
⇒ 「はい」「いいえ」で答えればいいので、返答が重荷になりません。なので、お客様は割合と素直に、首を振ったりしてくれて、スタッフは簡単に正しい情報を得ることができます。
スタッフはYESかNOに話を繋いでいけばいいので、予習がしやすいです。また機能の有り無しという客観を話題にしていくことで、お客様に寄り添っていながら、実はスタッフに主導権をおいたまま、スタッフの持っていきたい方向に話を持っていきやすくなります。なので、コミュニケーションを繋ぎやすくなります。
(画像はイメージです/出典:photoAC)
前掲出の1~6の項目を満たすためには、以下の対応、そして、質問につなげることが、コミュニケーションをつないで販売機会を増やしていくためには、望ましいです。
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スタッフ:「スーツケース、いかがですか?」
お客様 :「今使っているのがあるから、いらないわ」
スタッフ:「お客様、見ていただいて、そして、教えていただいて、ありがとうございます! そうですよね、今使っているののがあれば、いらないですよね。わたくしも、そう思います。お客様、ひとつだけ、質問をさせていただいても、よろしいですか? 今お使いのスーツケースに、ストッパーは付いていらっしゃいますか?」
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【 解 説 】
1.「~見ていただいて、そして教えていただいて、ありがとうございます」
・・・感謝をお伝えする。
2.「そうですよね、今使っているのがあれば、いらないですよね。私も、そう思います」
・・・否定しない。否定語は使わない。共感する。お客様の警戒心を緩くする。
3.「お客様、ひとつだけ、質問させていただいても、よろしいですか?」
・・・お客様を主役として尊重する。心理的に主導権を渡す。
4.「今お使いのスーツケースに、ストッパーは付いていらっしゃいますか?」
・・・クローズドクエスチョンで質問する。
・いきなり4.の質問をしても、お客様には失礼です。1~3の前段階を踏むことによって、4の質問に、お客様はとても返答しやすい状況になります。しかもクローズドクエスチョンですから。
なので、その後のコミュニケーションを繋いでいきやすくなります。
(画像はイメージです/出典:photoAC)
【 返答への対応 】
Q:「今お使いのスーツケースに、ストッパーは付いていらっしゃいますか?」
A:「ええ、ついているわよ」
スタッフ「まあー、さすが、お客様、いいの持っていらっしゃいますね」
・・・とほめましょう。そして、
「教えていただいてありがとうございます。ところで、そのストッパー、ONとOFF,手元で操作できますか?」 と、さらにクローズドクエスチョンでつないぎましょう。
・・・YESのご返事なら、またほめる。そして、他の訴求したい機能について、言及してみましょう。
Q:「今お使いのスーツケースに、ストッパーは付いていらっしゃいますか?」
B:「いいえ、ついていないわ」
スタッフ:「ちょーど、よかったです、お客様。これ、キャスターにストッパーがついているんです。買うとか買わないとかは、横においておいて、見るだけ、触るだけ、聴くだけでかまいませんから、ものは試し、情報だけでも、持って帰っていってください。情報はタダですからね」
というように、コミュニケーションをつないでいきましょう。
商品は売るのではなく、その魅力をお伝えすることに傾注しましょう。
そのためには、まずは質問。クローズドクエスチョンから入りましょう。それが質問のコツです。