セールストークのコツ/トークを円滑にする7つの工夫と3つのセオリー


(画像はイメージです/出典:photoAC)

セールストークのコツ、

実践していますか?

(私が実践で得た成果を基に書いています)

接客販売の現場には、お客様心理というものがあります。セールストークは、お客様心理に寄り添いながら、お客様心理を活用して購買に結び付ける優れたテクニックです。これを学習して身につけると、販売はとても楽しくなり成果にもつながっていきます。

1.セールストークの流れとコツ

最初に流れだけを記します

(1)お客様には、そっとやさしく近づきましょう。

(2)お客様のおっしゃることには共感から入り、お客様との心理的距離を縮めましょう。

(3)お客様に幸せになって欲しいとう愛情を持って語りましょう。決して自分の都合を前 面に出してはいけません。

(4)お客様と打ち解けてきた頃に、商品に関わるニーズを想起する話題を語りましょう。

(5)そのニーズを解決しないで、そのまま、ほっておいたらどうなってしまうのでしょうか?  不安になる話題を語りましょう。

(6)そのニーズを解決したらどんなに嬉しくて、どんなに幸せな毎日がやってくるようになるのか、明るく幸せな未来を想像できるように語りましょう。

(7)その時、お客様との会話から探り当てた お客様のニーズのコア” を満たすトークに努めましょうニーズのコアを満たすことが分かれば、尚一層、購買意欲を高めることができます。それはつまり、商品によってお客様が享受できる有形無形の価値 ”ベネフィット” をお伝えすることでもあります。

◇ お客様は、ニーズを解決したい欲求が高まります。そして、その欲求が更に高まった時、その欲求を解決する行動に出ます。・・・つまり、商品を買うことです。

〔解説1〕

(1)お客様は警戒心を持っています。

お客様は「買わされたくない」「言われるままに買うのはいやだ」「よーく考えて自分で判断したい」という基本心理を持っています。

そして、使えるお金と使えないお金を認識しています。

なので、スタッフにああでもない、こうでもないと、いろいろ勧められることに警戒心を持ちます。

よって、セールストークは、その警戒心を解くところから始めましょう。

・ひとつ目のコツ  警戒心を解くつもりで “優しく” トークする。

◆つまり、これは、お客様にとっての「安心安全」ですね。お客様の「安全安心」をスタッフは意識してトークをしましょう。

(2)「人には認められたら嬉しい」という基本心理があります。

なので、お客様に質問をして、その返答に対して共感します

YESでもNOでも、とにかく共感します。

この行為が、お客様の警戒心を解くとともに、お客様の耳を ”聞く耳” から ”聴く耳” に変わらせる、大きな力になります。(お客様にNOと否定された場合には〔過去形で共感する〕というテクニックを使って、コミュニケーションをつなげましょう)

・二つ目のコツ ⇒ お客様に ”共感しながら” トークする。

◆つまり、これは、お客様にとっては「認められること」ですね。言葉を変えれば「承認欲求が満たされた」ということ。スタッフはお客様の承認欲求を満たすことを意識してトークをしましょう。

(3) ”愛情” を持って接し、打ち解けましょう。

お客様には警戒心がある一方で、自分のことを分かってもらいたい、知って欲しいという承認欲求があります。(2)に続いて、さらにこの承認欲求を活用します

上記(1)(2)に丁寧に取り組むことで、お客様の気持ちに寄り添い、お客様の立場に立つことができます。ただ、それらは単に ”コツ” だけでそうなるものではありません。その過程に、スタッフとして必要な姿勢と感情があります

それは ”愛情” です。

どのような愛情かといえば、”お客様に幸せになってほしい” と思う気持ちです。そのような愛情を持つことが、お客様との心理的な距離を縮めていきます。

スタッフは自信の都合だけでセールストークをしてはならないのです。

スタッフの役割は営業であり販売です。

スタッフの使命は、それを売って予算を達成することです。

ただ、そういう事は、お客様にとっては単なるスタッフの都合でしかありません。その都合を前面に出してくるスタッフには、「自分の言いたいことだけを言って、こっちの事情をちっとも分かってくれていない」という気持ちになり、耳が閉じてしまいます。

人の幸せ思う気持ち愛情”は、セールストークになんとも言えない艶を出し、心の籠った説得力のあるトークを作り出してくれます。

お客様の心は開き、耳は”聴く耳”となり、スタッフのトークがどんどん耳に入っていきます。

・三つ目のコツ ⇒ お客様の”幸せを願う愛情”を持ってトークする。

◆つまり、これは、相手先様を承認する気持ちがなければ生まれません。なので、ここでも「承認欲求を満たす」ということがトークのキーワードになるわけです。

(4)ニーズを想起するトーク

① 話題転換のコツ。

お客様と打ち解けたらニーズを想起させるトークに入ります。話題を変える時にもテクニックがあります。

ありがとうございます。いろいろ教えていただいて。とても勉強になりました。ところで、お客様(〇〇様)~」という言い方が最も分かりやすくて、取り組みやすいです。

感謝の言葉 + 「ところで、お客様(〇〇様)」

感謝の言葉で、そこまでの話に一旦幕を降ろします。上記の例では「とても勉強になりました」と加えています。これは、相手先様が無意識のうちに認められる一言です(承認欲求を満たす)。なので、さらに心が開きます。

「ところで」という接続詞はとても便利な話題転換の言葉です。これを有効に使うためには、直前に「ありがとうございます」を伝えて、かならず前の話題に区切りをつけて使いましょう。

② ニーズを想起させる。

ここからがセールストークの本題です。やっと?  と感じた方もいらっしゃると思います。そう、やっとかもしれません。ただ、上記の段取りを踏んでおくと、あとはとってもスムーズです。勉強してきた製品や商品知識のことも、ここから思う存分に発揮することができます。

ニーズを想起させるには、時制を意識させるトークにします。

なぜなら、ニーズは過去にあり、ニーズの解決は未来にあるからです。

なので、ニーズに関するトークは「~だった」「~でした」「~た」というように徹底して過去形で通します。そして、表情は、暗く辛く悲しく・・・。

一方、ニーズの解決に関するトークは未来なので、その語尾は「~なんです!」「~です!」を使い、明るく元気に嬉しそうにトークします。

ここで、ニーズを思い起こさせやすくするために、写真や図解などの小道具を使うことも一考です。私の場合、先行商品そのものを(決して、否定することなく)話題にしたりする場合もあります。

そして大事なこと。

お客様の反応に共感しましょう。つまり、お客様の心に寄り添う、お客様と一緒にお客様の辛かった(困っていた)過去に行くのです

その後には、ニーズを解決する未来にお客様と一緒に行くわけですから、そういう意味で、営業販売のスタッフはタイムマシンの添乗員ですね優秀な添乗員になりましょう。優秀な添乗員はお客様に頼られます。なので、成果につながりやすくなります。

・四つ目のコツ ⇒ 話題を転換して、ニーズを想起させる。

◆販売スタッフはタイムマシンの優秀な添乗員です。お客様をきちんと「辛かった過去」「困っていた過去」へお連れしましょう。

(5)不安にさせるトークをする。

「今の困った状態を、そのままにしておいても、いいんですか?」

少しいじわるですね。ただ、これを除くと、売りたい製品や商品の必要性を説くことが難しくなります。

じゃあ、そんな必要性があるのなら、何故もっと早い段階でお客様に伝えないのか?といえと、お客様はそういう不安になる話聞きたくないからです。人は常に安全安心を求める基本心理があるので、不安になることは避けて通りたいのです。

セールストークの早い段階で(まだお客様と心が通じていない段階)でこれを伝えると、お客様に、時として「失礼な人ね、あっち行って!」と言われかねません。

でも、共感、承認、共感、承認・・・を続けて、お客様の心を開き、お客様との”いい関係”ができていれば、その限りではありません。お客様は真剣な顔をして、聴いてくれます。

不安を感じたら、お客様はそれを解決したくなります

・五つ目のコツ ⇒ ニーズをそのままにしておいていいんですか?

◆つまり、これは「安全安心」の逆です。人が無意識のうちに求める「安全安心」それが損なわれますよ・・・というトークです。すると、お客様は「安全安心」を求めたくなります。スタッフは、ここでも「安全安心」を意識してトークしましょう。

◆さらに、もうひとつ。不安を解決して「わたしを安全安心なところへ連れていって下さい」という心理は「安全安心という中に私も居たい」という「帰属意識」でもあります。

人の基本心理には、安心できる誰か、仲間、集団や組織(最も最小の単位は恋人や夫婦。その次が家庭)に属していたいという欲求があります。

「困ったままにしておいていいんですか?」という言い方は、「そんな不安な所にいないで、もっと安心できるこっちのグループに、あなたもいらっしゃいよ」という意味でもあります。つまり「帰属意識」を擽っているわけです。スタッフは、お客様の「帰属意識」を満たすトークに努めましょう。

(6)明るい幸せな未来をトークする。

お客様は不安になる事を伝えられて、大袈裟に言えばドキドキして状態です。「わー、そんなことになったら、どうしよう!」

そこで、ニーズを解決したらこんなにハッピーですよという明るい未来をイメージできるようなトークをします

すると・・・

「わたしは、どうすればいいの?」とスタッフに問いかけるお客様もいらっしゃいます。

「これを使って下さい」・・・で解決策を提示します。

・自然な形で商品をお客様のお手元に届けることができます。

・六つ目のコツ ⇒ 明るいハッピーは未来を語る。

◆スタッフはタイムマシンの優秀な添乗員です。お客様をきちんと「明るい未来」「ハッピーな未来」へお連れしましょう。そして、そこでは、スタッフが売りたい製品や商品が大活躍しているのです。

◆ここでも「帰属意識」を満たすという心理を活用します。「お客様、こっちこっち! こっちにきたら、幸せな未来が待ってますよ!」っていうニュアンスでトークをしましょう。お客様を「幸せなグループの一員」になるようにお勧めするわけです。

(7)ベネフィットをトークに織り込みましょう。

お客様との会話の中から、お客様のニーズのコアを探しだしましょう。そして、それを満たすことができたら「なんて幸せなんでしょう!」という喜びを想像させるトークをします。

なので、ここはアドリブですね。お客様の幸せを願う”愛情”を持ってすれば、あなた自身の普段の言葉を使って自然と出てきます。

ここを予習するとしたら、商品の提供価値からいろいろなベネフィットを想定して、紙に書いて頭に入れておくことです。そのうちのひとつが、お客様のニーズのコアを満たせそうであるならば、予習は成功ですね。

・七つ目のコツ ⇒ ニーズのコアを満たすトークをする。

◆実は、これこそが、お客様が一番知りたいところです。その製品を、その商品を、私が購入したら、私が求めているものは満たされるのか否か? 

お客様と十分なコミュニケーションをとって、お客様の心を開き、お客様の耳を聴く耳にして、ニーズのコアを探りましょう。

2.セールストークを円滑にする三つのセオリー

ここまで読んでいただいたら、もうお分かりですよね。

セールストーク円滑にする三つのセオリーとは、「マズローの五段階欲求説」で説明されている人の基本心理のうちの三つです・

(1)人は、安全安心を求めている(安全安心欲求)

(2)人は、認められたら嬉しい   (承認欲求)

(3)人は、何かに所属していたい(帰属欲求)

私は、常々思います。心理学者のアブラハム・マズローさん。ほんとすごいなって。なぜなら、営業や販売のコミュニケーションのテクニックを、全てといっていいくらい「五段階欲求説」で説明できて、実践の場でとっても役に立っているのですから。

世間にはいろいろなセオリーがあります。それらは人間の心理を分析して導き出したものですから、実は分野を問わず、いろいろな場面に共通するものでもあるんですね。

例えば、「類似性の法則」は恋愛講座に活用できれば、マーケティングにも活用できます。もちろん営業にも販売にも活用できます。

例えば、「損失回避の法則」これは行動経済学に出てきますが、これだって恋愛講座にも活用できます。そのあたりのことは、また別の機会にお話しいたしますね。

セールストークは、そのものがテクニックです。

そのテクニックを研ぎ澄まして、よりよい成果を上げるために、コツを学習して実践を繰り返していきたいと思います。

☆販売を楽しみましょう。