お客様が立ち止まらない理由/立ち止まってくれるアプローチの方法


(画像はイメージです/出典:photoAC)

そんな簡単に、お客様は立ち止まってくれません!どうしたらいいですか?

(私が実践で得た成果を基に書きました)

小売りの店頭で、店員さんが一生懸命に声を出して「いらっしゃいませ◇〇△▽□〇**」と呼び込みをしている姿をよく見かけます。元気な声かけ「いらっしゃいませ」、活気が出て、とてもいいですね。

ただ、そう簡単にお客様は立ち止まってはくれません。なかなか店内へと入ってはくれませんん。せっかく頑張って声を出しているのに、もったいないです。

なので、その理由を知り、対策を立てて、一人でも多くのお客様とコミュニケーションを繋ぐことができるように、そして売上に繋がるように、その対策を実践しましょう。

1.お客様は立ち止まりません・・・その理由は「類型化」

人の脳が有している能力を、ちょっと考えてみて下さい。

人の脳には、目に入った情報、耳に入った情報、それらを瞬時のうちに「知識と経験」の中のどれかに分類して、云わばパターン化して、納得しようとする働きがあります。情報の類型化を無意識のうちにおこなっているわけです。

子供は知識も経験も少ないので、なんでも触って確かめようとします。でも、大人には「知識と経験」があります。脳はいちいち確かめようとはせずに、目や耳に入ってきた情報を一瞬で整理整頓して、頭の中の情報の引き出しの中にサッと入れてしまいます。

〔例〕ショッピング街を歩いている・・・「あっ、あれは腰の負担を軽くするやつね。知ってるわ。今はいらない」

〔例〕ショッピング街を歩いている・・・「あっ、パソコンの新製品かな。またすぐに新しいのが出るよ。今はいいや」

サッと見て、サッと判断。そしてサッと通り過ぎる。これは、インターネットで何かを検索する時と同じですね。

そして、類型化の中には「無視」という引き出しもあります。それには関わりたくない、関わったら安全安心が脅かされる、という判断です。

なので、そこにどんなに優れたモノがあったとしても、そこにどんなに役にたつ情報があったとしても、視覚または聴覚で得た瞬時の情報を、人の脳は瞬時のうちに類型化して、無意識のうちに、行動に判断を与えます。

・・・さーっと、スタッフの前を通り過ぎる・・・は、その結果です。

つまり・・・分かってしまうから、たちどまらないんです。

本当は、全部分かっていなくても、自分としては分かってしまうんです。人は自分が思ったことが一番正しいと思う性質もありますしね。

なので、次のような対策が生まれます。

立ち止まっていただくには、「あれ? あれって、なんだろう?」と、心の中に???が浮かぶような視覚聴覚情報を示すのです。

なので、スタッフが立って呼び込むその場所に置く看板、POPの類、ディスプレイ、スタッフが手に持つフリップなど、そして口上・・・、少しくらい、分かりにくくてもいいのです。

ただ、多くの上司という管理者はこう言います。「そんなんじゃあ、分かりにくい」と。そして改善を求めてきます。

私に言わせれば、説明するスタッフがそこに居るのだから、わかりにくくてもいいんです。その方がお客様から質問をいただけて、アプローチのきっかけを得ることができるんです。

わかりやすくしないといけないのは、スタッフが居ない無人の売り場に並ぶ商品たちです。つまり、無人の売り場は ”わかりやすく”、有人の売り場は ” ??”があっていいんです。

??があれば、お客様は質問をしたくなります。スタッフは応えます。そこにお客様の心を摑まえるチャンスが生まれるんですね。

わかりやすかったら、お客様は瞬時に判断してそこに留まりません。なので、少しくらい分かりにくくしておいてもいいんです。

※ただし、目的を持ったお客様が買いにこられる専門店や売り場、目的を持ったお客様に対しては、この限りではありません。私が言いたいのは、あくまで呼び込みをする場面での工夫のことです。

2.お客様は立ち止まりません・・・その理由は、警戒心

お客様の五感に訴えようと(特に触覚)「触ってみて下さい。ちょっと使ってみて下さい」とお客様を誘っても、お客様はなかなか近寄ってはくれません

なぜなら、買わされてしまったら嫌だからです。

お客様がスタッフに近づいたら、スタッフはどんどん喋り出します。お客様はじっくり考えたいのに!です。

近寄らないのは、「買うつもりはありません。ちょっと確認してみたいことがあるだけです」というお客様の意志表示です。そういうお客様の気持ちを慮りましょう。それがお客様の立場に立つ第一歩です。

ただ、営業も販売も「売るのが仕事」です。売らなければいけません。そこをひとつのゴールしながら、そのゴールに到達するためには ”急がば回れ”・・・、まずは、お客様の警戒心を取るところから取り組みましょう。

そのためには・・・、次のような言い方も、工夫のひとつです。

3.「お客様、買わなくていいですから、触ってみて下さい」

売ることが目的ですから、このトークは、勇気が要ります。

ただ、お客様の幸せを願うという営業や販売の根本目的から言えば、このトークは十分必要なものでもあるんですね。「よーく見て、よーく聴いて、よーく触って、よーく確かめて・・」本当に自分の必要に合ったものをお買い求め下さい・・・という精神は、売る側の最も大切な心得です。

「お客様、買わなくていいですから、触ってみて下さい」

→ 「買わなくていいんだ」という思いが、お客様の心を安心させ、お客様の心を緩くします。つまり、警戒心が緩むわけです。そうですよね。お財布から、通帳から、なにがしかのお金が減っていくことから遠ざかるわけですから。(人は、未確定な得よりも、確かな損を重要に思い、そして回避する・・・損失回避の法則です)

→ すると、お客様の耳は開き、スタッフの言葉はお客様の耳に入りやすくなります

※ どんなにいいことを言っても、お客様に聴くつもりがなければ、”暖簾に腕押し” ”豆腐に釘” です。

お客様に〔聴く姿勢になっていただく〕ことは、営業や販売はもとより、接客に関わる仕事に携わるスタッフが真っ先に取り組むべき、大切な命題です。今日は、そのうちのひとつをご紹介、解説いたしました。

☆販売を楽しみましょう。