実演販売口上は「説得/交渉/口説き」日常に役立つ便利な話術です


(画像はイメージです/出典:photoAC)

実演販売の口上は

説得/交渉/口説きに

役立ちます

(私が実践で得た成果を基に書いています)

私が以前、高価なミキサー(品名:バイタミックス、売価:83,000円)の実演販売をしている時、こんなことがありました。

私   :「お客様、このミキサーご存知ですか? これで作るスムージー、美味しいですよ。作りますから、飲んでいかれませんか?」

お客様 :「こんな高いミキサー、私には関係ないわ。私絶対に買わないから。いいです」

「絶対に買わない」と、お客様は私に言い切りました。

でも、私はへこたれません。そこから口説き始めました。

・・・そして50分後。お客様は、そっと私に言ってくれました。

お客様 :「カードでも、いいですか?」

実演販売の口上というのは、お客様が「絶対NO」と口にしていても、最後には「YES」と言わせることができるのです。

実演販売の口上を支えるその話術は、日常のいろいろなシーンで必要な説得とか、交渉事とか、口説きたい時とかにも、役にたつと思いませんか?

実は、役にたつんです。 

この頁では、その話術についてお伝えし、解説したいと思います。

ここでは、私が経験した事例をそのまま使います。お客様は私と同年代と思われる50~60才前後の女性、主婦の方でご主人とご一緒でした。

1.アプローチ

(1)優しく入ります。お客様にストレスをかけてはいけません。なので、クローズドクエスチョンからはいります。 お客様はYESかNOで答えればいいのでです。

もしも「いかがですか?」とアプローチをかけたら・・・「いかがですか」は、お客様に考えさせて判断をせまる言い方です。最初の段階では、お客様に考えたり判断させたりというストレスを与えるのは避けましょう。

私のアプローチはこうです。

お客様、見ていただいてありがとうございます。お客様は、この◇◇◇、もう使っていらっしゃいますか?」

(2)お客様の返答には、必ず共感しましょう。

共感はオーム返し(バックトラッキングがいいでしょう。お客様は、スタッフが自分の言ったことを復唱してくれるので無意識のうちに安心します。なので、聴く耳が開きます。     (以下、(1)からの続きです)

お客様: 横に首を降る(知らない・・という意志表示)

私  :「おいしいスムージーができるんです。ひとつお作りしましょうか?」

お客様:「こんな高いの、私絶対に買わないから。いいです。材料もったいないでしょう」

私  :「そうですよね。高いですよねお客様、買わなくてもいいですよ。買わなくていいから情報だけでも持って帰って下さい。情報はタダですからね。せっかくこの店にきたんですから。こういうミキサーがあるんだっていうことを知ることだけでも、価値があるっていうものでしょう?

〔解説〕

〔テクニック①〕オーム返し

:お客様が価格について ”高い”とおっしゃったので、私も”高いですよね” と返しました。

〔テクニック②〕安心していただく。

:ここで「買わなくてもいい」とまで言って、お客様の心から警戒心(かわされるかも)を取り除き、安心を与えています。さらに、”情報はタダ”という価値をご提供しています。

⇒お客様は、ここに居て話を聞いていても損はしないだろうという気持ちになってくれます。

※ お客様と出会って時間が経っていない時は、売るとか、説明するとか、そういうのは二の次にして、まずはお客様と”いい関係”を作ることに心がけて下さい。            図にするとこんな感じです。(作図は筆者)

2.ニーズの想起

(1)ここでIf 作戦を使います。(If作戦は私が実践の中で身に付けたテクニックです)

私  :「お客様は、健康維持のために、何かされていらっしゃいますか?」

お客様:「特にしていないわ・・」

私  :「そうですよね。なかなかね、いろいろ大変ですものね。ただ、お客様。もしも一旦病気なんかなったら大変ですよね 病院とか、ちょっと2~3回通っただけで、1万円くらいすぐに飛んでいっちゃうし、時間はとられるし、家族に迷惑をかけたり、仕事にも影響があって、なんにもいいことないですよね

お客様:「・・・う、うん、まあ・・」

私  :「ねえ、大変ですよね。・・・ところでお客様ミキサーって、回転数が決めてだっていうのはご存知ですか?」

お客様:「いいえ」

私  :「そうですよねー。実は、私も、このミキサーと出会うまでは、知りませんでした。お客様、回転数が高いとですね、野菜も果物も、きちんと細かくできるから、だから消化にいいんです。消化にいいっていうことは、野菜や果物の栄養素を、ぜーんぶ、まるごと、いただくことができるんです。だから、健康にいいんです。病気はしたくありませんものね

〔解説〕

※ お客様に、あまりストレスを与えてしまってもいけません。なので、「ところでお客様」という言い方を挟んで話題を変えています。・・・でも、実をいうと、その先には ”健康にいいんです。病気したくありませんものね”  っていう、健康・長生きしたい・・・という人の基本的な欲求を擽っています。

※ 健康、長生きしたい、という欲求は人の根本欲求です。私は、そのニーズのコアを意識するようなトークに徹しました。そして、どんどんどん、お客様の潜在ニーズ/ニーズのコア(健康でいたい。長生きしたい)を引き出して、意識の上に乗せるようにしたのです。

お客様は口を開いて下さいました。

お客様:「じゃあ、どうすれば、いいの? 健康のためには」

※ お客様は、解決策を尋ねて下さったのです。・・・少し心が揺れ出した瞬間でした。

3.解決策の提示

お客様の「じゃあ、どうすれば、いいの? 健康のためには」に対して。

このミキサーを使えばいいんです!」っていうのは、・・そう言いたいけれども、それはあまりに露骨ですお客様は買わされまいと思うので、せっかく開いた心が閉じてしまいます。

なので、世間一般にある ”健康法” について語ります。

そして・・・ここが肝です。

このミキサーで、毎日野菜や果物のスムージーを飲むっていう方法も、ございますよ」と、やんわり、お伝えします。

ここで、世間一般にある”健康法”と、このミキサーが同じ価値になりました。なので、後は、このミキサーのさらなる価値をお伝えすればいいのです。

「お客様、このミキサー、おいしくて消化にいいスムージーだけではございます。なんと、温かいスープを作ることができれば、アイスクリームだって、あっという間に作ることができるんです!」

「お手入れ方法がですね、一般のミキサーと比べて、とーっとも楽なんです」

「お客様、家電商品なのに、保証期間は、なんと7年もついてくるんです。安心でしょう」

※ 次から次へと、このミキサーの提供価値を提示していきます。

すると、このミキサーを「健康に役立つ + さらにこんないい所もある」と認識していただけますので、「てに入れないともったいない」という気持ちが膨らんできます。

4.クロージング

クロージングは、あと一押し。ここでは、このミキサーを買うことによって、お客様に訪れるであろう〔幸せ〕をお伝えします。〔未来〕ですね。 この場におよんで「いかがですか」なんて野暮なことは言いません。

私  「今日から、お客様の健康、安心が増えますね」

お客様: 首を縦に振ってくれました。

そして、冒頭の 「カードでもいいですか」を、おっしゃっていただけました。

☆まとめ 以下のような流れです。(作図は筆者。イラストの出典はphotoAC)

※ 真ん中の矢印が左回りになっていますが、基本は外側の矢印、時計回りです。

※ 商品の性格によっては、左回りもあります。(流行品、ONLY1の商品などの場合)

さあ、このノウハウを、日々の説得や交渉、さらに口説きたい時などに応用して下さい。それでこそ、これを読んでいただいた意味があるというものです。

(画像はイメージです/出典:photoAC)

【応用】

1.説得/交渉

相手先様の考えを覆す、その可能性を見出す方法は・・・。

相手様に共感 :共感されたら、人は嬉しい。

If~作戦  :仮定の話は、心理的な負担が少ない。

その返答に共感:さらに共感されるので、もっと嬉しくなる。

潜在ニーズを想起させる :必要であることを気づかせる。

さらに、If~作戦 を続ける。(「もしも、***だったら、どうされるんですか?」)⇒ 相手先様に、そうなった時はそれを解決しないといけない! というストレスを与えます

解決方法の提示 :コレ(売りたい商品)で解決できることを伝えます。

・・・相手先様は、ホッと一安心します。

ハッピーな未来 :コレを手にした時の ”ハッピーな未来” をイメージさせます。

・・・相手先様がハッピーな未来をイメージできたら、OKサインを出してくれます。

*ポイントのひとつは、⑤ 相手先様にそれとなく ”ストレス” を与えることです。・・・コレが無かったら、こんなことになってしまいますよ・・・というマイナス状態をお客様の心にイメージさせます。

〔例〕「今のままだと、健康が遠くかもしれませんよ。それでもいいんですか?」

ポイントのもうひとつは、⑦ ハッピーな未来をイメージできるようなトーク。これを描かなくては話になりません。営業や販売のスタッフにありがちなミステイクは、” 商品の機能特性などについて話しているばかりで、この商品を使った時のハッピーな未来(つまり、メリット&ベネフィット)を大事に扱わないことです。

お客様が知りたいのは、

これを使ったら、わたしはどんなふうに、便利になるの? 幸せになるの? いい思いができるの? ・・・なのです。

それを、上手に伝えることができれば、全てはうまくいきます。

2.口説く

・上記の ”説得/交渉” の骨子より分りやすいと思います。

〔例〕

A:「ねえ、ねえ。この間の花火大会、彼と行ったの?」(クローズとクエスチョン

B:(首を横に振って)「わたし、彼、いないもん」

A:「そっか、ごめんごめん・・・じゃあ、寂しかったでしょう」(ニーズ想起

B:「まあね・・・」

A:「でも、もう大丈夫。よーく見てごらん。僕がいるじゃあないか」(解決策の提示

B:「!!!!」

A: 〔自分と付き合ったら実現するいい事伝える〕(ハッピーな未来をイメージさせる

・このように、実演販売口上は、説得や交渉、そして口説きにまで応用できます。是非、実演販売口上のノウハウを学習して、営業販売コミュニケーション、そしてお仕事はもちろん、日常生活の中にも応用してみて下さい。そうすれば、そこに ”発見、再発見” があり、世界は今よりも広がります。