損失回避の法則をセールストークに活用して成果を上げる/実践トーク


(画像 / 作製、撮影 : 筆者)

損失回避の法則

意識して活用して

いますか?

(私の実践で得た成果を基に書いています)

今日は有名なあの「損失回避の法則」(プロスペクト理論)を活用したセールストークについて、私の店頭での活用事例をご紹介したいと思います。

【損失回避の法則】

「人は、得をとるよりも、損失を回避する方を選択する」という、行動経済学にある有名なセオリーです。

〔事例1〕高額なミキサー販売での活用

私は一時期(2014~17年頃)、バイタミックスというアメリカ製のミキサーの販売に携わっておりました。当時の販売価格は 83,000です。ミキサーの価格は、低価格なものなら5千円位から、高いものでも1~2万円も出せば、性能のいいものを購入することができました。

そんな中にあっての83,000円ですから、お客様はその値段を見ただけで「わたし、絶対に買わないから説明しなくてもいいわよ」というお客様もいらっしゃいました。

(画像は筆者本人:沖縄のスーパーにて撮影)

上の写真は沖縄のスーパーで4日間店頭に立ち、やっと15台販売できた時のものです。3年半位の間、たまの土曜日曜、いろいろな店頭に立たせていただき、合計300台以上を販売させて頂きました。一般のミキサーの4~6倍もする高額なミキサーですから、なかなか実績を上げるのは難しい商品でした。

その時、よく使った手段が「損失回避の法則」です。

(1)メリット 

ミキサーですから、「色々な野菜や果物をスムージーにして飲めば健康にいい」というメリットをひとつの売りにしていました。以下がその時のセールストークです。

この時、エビデンスについては、バイタミックスの日本総輸入代理店が編集発行していた書籍掲載の内容から、そして私自身の体験を事例にしていました。そして、なによりも、実演で試飲をしていただき、お客様に五感に訴えることができたのは、大きな助けとなりました。

「お客様、なぜ、スムージーが健康にいいのか? ご存じですか? なぜなら、ですね、スージーにすると消化にいいんです。消化にいいっていうことは、身体に吸収しやすい、ですから、健康にいいんですね」

「このミキサーの回転数は、なんと1分間に3万7千回転、こんな回転数、私、他のミキサーで見たことございません。回転数が高いということは、野菜や果物の細胞壁をきちんと壊して、中からビタミンや酵素などの栄養素をきちんと取り出してくれる。それを全部、身体が吸収してくれる。ですから、健康にいいんです!栄養まるごと、いいただけるんですね」

(画像は筆者撮影)

というようなトークをしながら・・・そして、時々、損失回避の法則を意識して、以下のような言い方をしたりしていました。

(2)買わないデメリット〔このデメリットをトークで回避させる〕

「お客様、健康生活のために、何か工夫をされたりしていらっしゃいますか?していない? そうですよねー。世間にはいろいろありますけど、お金や時間がかかったり、やってはみたけれど途中で止めちゃったり、なかなかうまくいかないですよね~」

損失回避の法則を活用するのは、ここからです。

「ただ、お客様、今のままで、本当にいいんですか? 万一、病気になったりしたら、ちょっとお医者さんに2、3回通っただけで、すぐに1万円くらい飛んでいきますでしょう」

「時間もとられるし、心配事も増えるし、家族には迷惑をかけてしまうし、仕事はどうしよっか・・って悩んだり、心配ですよねー。ですから、普段の心がけって大切なんですよね。いざ病気になって、いろいろ損しないように、普段から対策しておきましょうよ

つまり・・・

”このミキサー、健康にいいのはもちろん〔得する〕、でも買わなかったら健康を損なうかもしれないのよ〔損する〕・・・それはイヤでしょう。だったら、このミキサーを買って、その損失の可能性を回避しましょうよ” と訴えているのです。 

多くのお客様が、ニーズを想起し、そしてストレスを感じます

なので、そのストレスを解決する方法として、ミキサー購入をご提案するのです

お客様は、それで解決するのなら・・・と感じて、欲しくなってしまいます。

この方法で、販売率は確実に上がりました。(もちろん、他の機能を「さらに!~」「さらに!~」を連発して実演と試飲試食を繰り返すことと併せての効果です)

(画像は筆者撮影)

2.「ポイント〇倍!」のセール期間での活用

損失回避の法則の、もうひとつの活用は、「今日から1週間、ポイント〇倍!」のようなセールの時です。

(画像出典:photoAC)

「お客様、ポイント〇倍! お得ですよ! この機会に是非、お買い求め下さいませ!」

私の周囲では、スタッフがこのような声を出しているのですが、私は実演販売の売台の前で、アプローチをかけたお客様にこう言います。

お客様、来週になって、やっぱりあの時に買っておけばよかった・・・って思った時には、えーと、これ〇〇〇〇円だから(電卓をたたいて)、〇〇〇円も損しちゃいますよ。損してもいいんですか?」

少し、小声で、トーンを下げて言ったりすると、多くの場合「じゃあ、買っておくわ」って言ってくれます。

得に訴えるのは、決して間違いではありません。

ただ、「〇〇を買わないと◇◇な損があるかも・・それは避けましょうね、お客様」というようにお伝えすると、多くのお客様は ”損はしたくない” と思って購買に至る場合が多いようです。

これが、私の ”損失回避の法則の活用方法” です。