「高い」と言われても怯まずコミュニケーションを繋げて販売する方法


上の写真は、バルミューダ―㈱のザ・ゴハン(旧モデル/46,200円)です。私が以前、雑貨店の店頭で実演販売(試食有)していた時のものです。この炊飯器は3合炊き。3合炊きでのこのお値段、そして保温機能は付いていないことから、お客様からは「高いわ!」ってよく言われました。・・・でも、売りました。

この記事は、その時の経験を元に書いております。

お客様から「高いわ!」

って言われて、

困ってしまったこと、

ありませんか?

そんな時でも、あわてず、ひるまず、ニコニコしながらコミュニケーションを繋げていって、販売に繋げる方法をご紹介いたします。

【お客様心理を知る】

まずは「高い!」って口にする、お客様の心理を探りましょう。

「高いわ!」って言われる時を、時制で思い出してみましょう。「高いわ!」と言われるのは何時でしょうか?

お客様によって、商品と値札が視野に入ったとたんに、サッとおおよそを分かったつもりになって「わあ、高いわ!」と口にされる場合、スタッフが一通り説明をした後に「高いわ」と言ってくれる場合、二つのシーンがあります。

(1)接客の最初に「高いわ!」と言われた場合

それは、お客様の直感です。

直感だから、それに対して「何故ならですね~」と、価格の理由を直ぐに説明する必要はありません。

もちろん、最終的には ”価格の理由” をきちんとお伝えするわけですが、もしもスタッフが最初から ”価格のワケ” を言い出したら、お客様は、

”ああ、買わされてしまうかもしれない、ああ、どうしよう・・・”

”ああ、このまま買うことになってしまったら、後悔するかもしれない・・”

”もっとじっくり考えたいのに・・・いやだ!いやだ!ゆっくり考えさせてほしい”

っていう気持ちになって、スタッフの言う言葉が耳に入らなくなります。つまり、慎重に慎重にという警戒する気持ちの方が強くなって、聴く耳が閉じるのです。

なので、ここで、ひとつ クッション言葉” を入れた対応をしてみましょう。

この “クッション言葉” が、「高いわ!」と言われても、あわてず、ひるまず、ニコニコしながらコミュニケーションを繋げていく、セールストークのテクニックです。

クッション言葉:その1

接客の最初の段階で「高いわ!」って言われたら、

「そうですよねー、高いですよね。実は、私も、最初はそう思ったんです」

と、返してみて下さい。

お客様は「ほら、私の思ったとおり。お店の人も、同じことを思ってくれていたんだわ」と思ってくれるでしょう。

人は共感してもらったら嬉しいですからね。お客様は、ほっと一安心。無意識のうちに嬉しく思います。・・お店の人は、私に強引に勧めるつもりはないみたいだし・・。お客様は安心するので、聴く耳が開きます。つまり、スタッフの言う事を、よく聞いてくれるようになります。

「そうですよね、高いですよね。実は、私も、最初はそう思ったんです」

これ、必ず”過去形”をを使います。「実は、私も、そう思いました」です。これを、もしも現在形で云ったら「実は、私も、高いと思います」という言い方になりますから、これでは商売になりません。そこで、お客様は離れてしまいます。

そして「実は」という”暴露”も、ひとつのテクニックです。この言葉を使うと、何か秘密を聞かされるような気持ちになって、お客様は聴く耳が開きます。

そして、さらに、スタッフはこう続けて下さい。もうひとつ ”クッション言葉” を入れます。

クッション言葉:その2

たとえば、こんなふうです。

ただ、実際にこの炊飯器で炊いてみるとですね、今までの炊飯器との違いがわかるんです。今日は試食をご用意しておりますのでね、実際にその味を味わっていただけるんですが、その前に云わせてください。この美味しさが毎日毎日、1年365日続くんですから、このお値段、お安いものですよ

「お客様、お口に入れた、その瞬間に違いがわかりますよ。ごはんの一粒一粒がですね、しゃきっとして、噛むたびにご飯の美味しさがお口の中に広がっていくんです。」

「保温機能は付いておりません。いらないんです。なぜって、保温していたら、ご飯の美味しさが半減してしまいます。実は、この炊飯器で炊くゴハン、冷めても美味しいんです。これはお米をむやみに踊らしたりせずに、蒸気で炊飯しているからなんですね。 お客様、お弁当につめたら、ご家族のみなさんに喜んでいただけますよ~。お母さん、おかずも美味しいけど、ご飯も美味しいって!

ここでのポイントは、ふたつです

① 否定語は使わない

お客様の「高い」というご意見に対して、セールスをする立場としては ”そうではありません” と伝えていかなくてはならないわけですが、そこで「でも」とか「しかし」とかいう否定語は避けた方がいいです。否定語は、お客様からしてみれば、自分の言ったことが否定されているように聞こえて、いい気分ではありません。

なので、これを覚えて、使ってみましょう。

この「ただ~」とか「ただですね~」は、安部元首相が答弁でよく使っていました。相手先様をやわんりと否定しているのですが、その否定が強くは感じられません。なので、次に繋げて言う自分が伝えたい事柄を、相手先様はきちんと耳を開いて聴いてくれるんですね。

② メリットを具体的に、証拠と一緒にお伝えする

この記事の事例は実演販売なので、試食というエビデンスを提供することができました。そこで「美味しい!」と感じていただければ、ひとつハードルをクリアできました。

エビデンスは製品の良さを示す証拠ですから、公的機関のよる性能の監査結果、TVや雑誌など信頼できる媒体に紹介された場合はその記事はとても効果的です。

実際に自分が使ってみた感想も強い効果があります。

これら、ふたつのクッション言葉によって、お客様の聴く耳は開きます。なので、セールストークの内容がきちんとお客様の中に入っていってくれます。

すると、お客様は興味がどんどん湧いてきて、質問が増えます。質問が増えるということは、その質問内容から、お客様の嗜好や予算やニーズ、ニーズのコアを探ることができるということです。お客様のことをより多く知ることができるわけですから、スタッフとしても次の作戦を立てやすくなりますね。

なので、コミュニ―ケーションを上手につないでいくことができるのです。コミュニケーションが繋がれば、自ずから販売の機会は増えていきます。

(画像は筆者/左は一緒に実演販売していたトースターです)

(2)接客の最後の方に「高いわ!」と言われた場合

お客様:「でも、高いのよね~」

クロージングをしたら、又は、しようとしたら、「高いわ」と言いれてしまった場合。せっかく説明したのに・・と思うのですが・・。

これは、スタッフのアプローチがお客様に届かなかったということです。・・・つまり、自分のアプローチは下手だった・・・。心の中で、何をどのようにお客様にお伝えしたのかを振り返り反省をしながら、アタックし直しましょう。

ここでも、「実は、私も、最初は、そう思ったんです」を使いましょう。

スタッフ:「高い? そうですよねー 高いですよねー。実はですね、私も最初は、そう思ったんです。ただですね、実際に使ってみたら、そんなことないんですよ。むしろ、安いって感じました。なぜならですね~

お客様は、自分と同じことを思ってくれていたことに、ほっとして耳は閉じません。

そして肝心なのは、既に一通り説明をしているわけですから、自分が最初に「高い」と思った印象と実際に使ってみて得た満足を、方便でもいいから、お客様にご説明することです。

そうすれば、お客様から、幾ばくかの信用を得ることができます。

なので、コミュニケーションは繋がります。

(3)説明をしても、聴いてくれないそぶり

これはもう、お客様のニーズから、かなりかけ離れている商品をお勧めしてしまっている可能性が高いです。なので、そのお客様を諦めるか(お客様をその場から離す)、早めに切り上げて他のお客様にアタックした方が良いです。

これが、「高いわ!」と言われても、あわてず、ひるまず、コミュニケーションを上手につないでいく方法です。コミュニケーションがつながっていけば、販売の機会は自ずから増えますからね。そして、成果が伸びれば、仕事はもっともっと面白くなっていきます。

この炊飯器の、私の販売経験ですが、一人のお客様に2台販売させて頂いたことが2件あります。

<お一人目>

私が実演販売をしていたら、前日お買い上げのお客様がご来店されて「昨日買って帰って、さっそく炊いたら美味しかったので、一人暮らしの息子の所へ送りたい」というニーズでした。

<お二人目>

2台のうちの1台を”お弁当専用”に購入していただけました。お客様は、中学生位の娘さんを連れたお母さまです。私は次のようにセールストークをしました。

「お客様、お子さまが大きくなって、お母さんがお弁当を作ってくれていた時のことを思い出したとき、ああ、お母さんのお弁当、美味しかったなあ・・・。おかずも美味しかったけど、ご飯がとても美味しかった・・懐かしいなあ・・・。お客様、大事な娘さんが、そんなふうに思い出してくれたら、嬉しいじゃあありませんか? 美味しいいご飯で作るお弁当、美味しいご飯を食べるっていうこと、大事なんですよ」

そんなふうにセールストークをしたら・・お客様「お弁当用に買うわ!ください!」と笑顔で購入していただけました。

セールストークっていうのは、お客様をハッピーにすることができるのです。