介護の詩|あなたさまは認知症/尊厳|老人ホームで暮らす高齢者の様子

※この頁では老人ホームでの出来事を、そこで働いている介護士が口語自由詩にてお伝えしています。

【車止めで一息 91】

あなたさまは認知症/尊厳

(イラストはイメージです/出典:photoAC)

老人ホームで暮らす、お婆ちゃんお爺ちゃんのこと、

気になりませんか? 

少しだけでもいいので気にしてみて下さい。

そこには、人生最期の自分の姿があるかもしれません。

この作品は、前々回の「認知症のあなた/哀切」、前回の「認知症のあなた/無情」と併せて作品のひとつの塊となるように書きました。

前々回作品も前回作品も、認知症になったあなた様の”現在と過去”を行ったり来たりしながら、現在のあなた様を嘆き、過去のあなた様を懐かしむ・・という構成にしてあります。

この作品では、介護する者は認知症の方にどのような理解と姿勢をもって相対していったら”上手く寄り添っていけるのか?” という命題を視点(テーマ)にして、”時制は現在だけ”にしました。

ここで大事なことは、それらの理解と姿勢を保つことができる理由があるということです。その理由とは、前々回と前回で書いた哀切や無情という感情を胸にしっかりと抱きしめておくことなのです。

尚、詩作品の中には”認知症の中核症状”を太文字にて書き込みました。それらの症状に少しでも関心を持ってくださいましたら幸いです。

認なたさまは認知症/尊厳 】

車止めで一息 91

あなたさまは認知症/尊厳

記憶障害を発症するようになったあなたさま、だけれども、

あなたさまなくしてご家族に今この時はありません。

ご家族の命をご先祖様から今この時へと繋いでこられたあなたさま。

あなたさまはこの世にたったひとりの大切な人。

見当識障害を発症するようになったあなたさま、だけれども、

あなたさまの感覚は誰にも侵されないあなたさまだけの大切な感覚。

季節が何で今日が何月何日であるかは分からなくてかまいません。

あなたさまは後にも先にもたった一人しかいない大切な人なのですから。

理解力も判断力も衰えてしまったあなたさま、だけれども、

あなたさまの理解も判断もあなたさまの心から生まれたあなたさまの世界。

あなたさまから生まれたあなたさまの真理なのです。

あなたさまはあなたさまにしか分からない世界を持つ大切な人。

言語障害を発症しているあなたさま、だけれども、

聴覚と視覚とノンバーバルメッセージと、

そして熱意を合わせれば感情が伝わります。

あなたさまはコミュニケーションの極意を教えてくれる大切な人。

失行や失認障害も発症してしまっているあなたさま、だけれども、

あなたさまを助けて支える人がいます。

あなたさまも私もみんなみんな人は助けあって生きていくのです。

どうか介助されてください、私たちがあなたさまの尊厳を最期まで守ります。

何があっても何がどうなろうとも、

あなたさまの尊さは変わりません。

あなたさまは世界にたったひとりの、

尊い人なのです。

(画像はイメージです/出典:photoAC)

【 詩 境 】

詩 境

認知症に出現する症状は「”中核症状”によって”周辺症状”が出現する」という理解がされています。

<参考>認知症の中核症状:健康長寿ネット

<参考>認知症の周辺症状:健康長寿ネット

ex:その方には記憶障害があります。

  ⇩

:なので、ご飯を食べたばかりなのに「ご飯、まだですか?」とおっしゃっているのです。

ex:その方は、ご飯を食べたばかりなのに「ご飯、まだですか?」とおっしゃっています。

  ⇩

:なぜなら、その方には記憶障害があるからです。

※つまり、ご飯を食べたのに「ご飯、まだですか?」と訴えてくるのは、記憶障害という”中核症状”が原因で起こる結果なのです。

そのような症状が出現したとき、現場では次のように対応します。

・記憶障害がまだ初期の頃には、いつ、何を召しあがったのか、きちんとお話しします。すると大抵の場合は、「そうですか…私が忘れてしまったのですね」とご納得されます。

・記憶障害が進んでいる場合には、上記のような説明をしてもご本人様は意に介しません。「なんで嘘つくの!」と怒り出すことさえあります。その時、ご本人様は空腹感を感じていると思われます。なので、飲み物や若干のお菓子などを提供したり、庭へ散歩に連れ出したりして、ご本人様の空腹感を忘れさせるようにします。対応は、”話題を変える”とか ”関心の対象を変える”です。

・現場で混乱するのは、記憶障害が進行している過渡期の場合です。その時々によって、上記の対応を使い分けするのですが、的を得ずに押し問答を繰り返したり、または怒らせてしまったりするときもあります。

”いい介護”をおこなうためには、それらの病状をきちんと理解し、その方の尊厳を介護者が守ってさしあげることでが必要です。

そのような姿勢の必要性と、尊厳を守るにあたっての心構えについて皆様に知っていただきたく思い、この詩作品を描きました。

また、詩作品の中に認知症の中核症状をゴチックで書き込みましたので、認知症を知るきっかけの学習材料になってくれたら幸いです。

(イラストはイメージです/出典:photoAC)

今までの作品一覧

以下にございます。

介護の詩/老人ホームで暮らす高齢者の様子/「車止めで一息」/詩境

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