介護の詩一覧

介護の詩|中空の意志|老人ホームで暮らす高齢者の様子|詩境

ほとんとの時間をベッドに横になり眠っているように見えている方でも、脳は覚醒している場合が多々あります。つまり、眠っているように見えていても、”声をかける” ”手を握る” ”身体をさする” など、その方の聴覚と触覚に訴え続けることは、とても大事なことなのです。この作品は、爪の手入れの最中に私が体験した感慨です。

介護の詩|炎のランナー|老人ホームで暮らす高齢者の様子|詩境

陸上選手だった貴方様。ベッドからゆっくり立ち上がった貴方様はよれよれの二つ折れ。けれども、顔を上げて前を向いたその瞬間、その姿がチェストの上の写真の若かりし頃の貴方様と重なりました。熱いエネルギーの塊をそのまま感じさせてくれた貴方様。歩行器を押す姿も、炎のランナーのようでした。

介護の詩|終の棲家の最初の頃|老人ホームの高齢者の息遣い|詩境

老人ホームへの入居理由は様々ですが、本人様よりも家族の意志が強いまま入居された場合は問題が生じます。本人様は混乱し帰宅願望に目覚めるからです。そのような事例も含めて、老人ホームへの入居直後の様子を数例、詩というよりも散文にて構成してみました。

介護の詩|順送りですから|老人ホームで暮らす高齢者の様子|詩境

私が働く老人ホームのダイニングでの食席。決めなくてもほぼ固定していきます。でも1年経つと人は入れ替わっています。他界される方と新入居者様がいらっしゃるからです。「行く河の流れは絶えずして(中略)世の中にある人とすみかと、またかくのごとし(方丈記)」が短いサイクルでおこなわれます。その時に遭遇した感慨を詩にしました。

介護の詩|笑顔の観音様|老人ホームで暮らす高齢者の様子|詩境

いつも笑顔で「ありがとうございます」と仰っていた貴女様。その笑顔と「ありがとうございます」は周囲をなごやかにして下さいました。そして、私が抱えている「困った事」にも勇気を与えてくださいました。私が働いている老人ホームでの出来事です。私はその方を、心の中で、実は「観音様」と呼んでいました。

介護の詩|かくれんぼ|老人ホームで暮らす高齢者の様子|詩境

私は、認知症の方に寄り添うとき、その方が今、人間の基本的な欲求の何を欲求しているのだろう・・と考えます。その欲求とは、マズローの五段階欲求説で述べられている欲求のことです。この作品は、その取り組みをしながら認知症の方に寄り添わせて頂いたときの話を素材にしています。ほんの一瞬ですが、記憶の欠片が落ちてきました。

介護の詩|遠い人/認知症|老人ホームで暮らす高齢者の様子|詩境

認知症の方に寄り添う工夫。ひとつはその方の過去暦を頭に入れておき話題にすること、ひとつは意識して五感に訴えること、ひとつはその方の反応にはペーシングをして共感すること、・・と私は、現場で学びました。この方の過去暦には、麻雀の二文字がありました。わたしは麻雀を視覚と聴覚に訴えてみました。その時の話です。

介護の詩|生き続けること|老人ホームで暮らす高齢者の様子|詩境

失禁をして初めて自分は高齢だと自覚される方もいらっしゃいます。その場合、リハパンは使っていません。下着は普通のままなので、失禁の結果として、下着、パジャマ、シーツ、敷布団.....を汚してしまったことにも大きな衝撃を受けるようです。そんな自分を認めて立ち直るには、時間がかかります。今回はその時の話です。

介護の詩|八十八才のわたし|老人ホームで暮らす高齢者の様子|詩境

老人ホームへ入居して、既にそこで暮らしている人たちと何らかのコミュニケーションをとろうとするその気持ちは、学校で新しいクラスに馴染もうとする気持ちと同じようなものです。新しいご入居者様が古参の入居者たちに、好きなようにいじられるのを見て、人間社会には老いも若きもないんだなぁ・・と私は感じました。

介護の詩|励まし|老人ホームで暮らす高齢者の息遣いと様子|詩境

老人ホームで介護士として働きながら、そこで見聞したことや、体験したことと、そして感じたことを「詩」にしてお伝えしています。今回は、ご入居者様とのコミュニケーションが円滑にとれて、ご入居者様が、その心情を吐露してくださった場面です。スタッフである私への励ましの言葉でした。