かとうあきら一覧

介護の詩/炎のランナー/老人ホームでの息遣いと命の灯51/詩境

陸上選手だった貴方様。ベッドからゆっくり立ち上がった貴方様はよれよれの二つ折れ。けれども、顔を上げて前を向いたその瞬間、その姿がチェストの上の写真の若かりし頃の貴方様と重なりました。熱いエネルギーの塊をそのまま感じさせてくれた貴方様。歩行器を押す姿も、炎のランナーのようでした。

百人一首/英訳②/君がため惜しからざりし命さへ/第五十番歌

百人一首の恋の歌、第50番歌「君がため惜しからざりし命さへ~」の英訳とその解説です。直訳、意訳、解説も付けました。日本語と英語と両方の表現を学ぶことにより、和歌の心と英語表現と両方学べます。「貴女に逢うためなら死んでもいい!」と詠った歌、どのように英訳されているのでしょうか?そして、その歌の心は?

百人一首/英訳①/逢ひ見ての後の心にくらぶれば/第四十三番歌

百人一首の恋の歌、第43番歌「逢ひみての後の心にくらぶれば~」の英訳とその解説です。直訳、意訳、解説も付けました。日本語と英語と両方の表現を学ぶことにより、和歌の心と英語表現と、さらに詩歌への鑑賞をさらに深めていくことができます。

介護の詩/順送りですから/老人ホームでの息遣いと命の灯49/詩境

私が働く老人ホームのダイニングでの食席。決めなくてもほぼ固定していきます。でも1年経つと人は入れ替わっています。他界される方と新入居者様がいらっしゃるからです。「行く河の流れは絶えずして(中略)世の中にある人とすみかと、またかくのごとし(方丈記)」が短いサイクルでおこなわれます。その時に遭遇した感慨を詩にしました。

介護の詩/笑顔の観音様/老人ホームでの息遣いと命の灯48/詩境

いつも笑顔で「ありがとうございます」と仰っていた貴女様。その笑顔と「ありがとうございます」は周囲をなごやかにして下さいました。そして、私が抱えている「困った事」にも勇気を与えてくださいました。私が働いている老人ホームでの出来事です。私はその方を、心の中で、実は「観音様」と呼んでいました。

介護の詩/かくれんぼ/老人ホームでの息遣いと命の灯47/詩境

私は、認知症の方に寄り添うとき、その方が今、人間の基本的な欲求の何を欲求しているのだろう・・と考えます。その欲求とは、マズローの五段階欲求説で述べられている欲求のことです。この作品は、その取り組みをしながら認知症の方に寄り添わせて頂いたときの話を素材にしています。ほんの一瞬ですが、記憶の欠片が落ちてきました。

介護の詩/遠い人(認知症)/老人ホームでの息遣いと命の灯46/詩境

認知症の方に寄り添う工夫。ひとつはその方の過去暦を頭に入れておき話題にすること、ひとつは意識して五感に訴えること、ひとつはその方の反応にはペーシングをして共感すること、・・と私は、現場で学びました。この方の過去暦には、麻雀の二文字がありました。わたしは麻雀を視覚と聴覚に訴えてみました。その時の話です。

介護の詩/生き続けること/老人ホームでの息遣いと命の灯45/詩境

失禁をして初めて自分は高齢だと自覚される方もいらっしゃいます。その場合、リハパンは使っていません。下着は普通のままなので、失禁の結果として、下着、パジャマ、シーツ、敷布団.....を汚してしまったことにも大きな衝撃を受けるようです。そんな自分を認めて立ち直るには、時間がかかります。今回はその時の話です。

介護の詩/八十八才のわたし/老人ホームでの息遣いと命の灯44/詩境

老人ホームへ入居して、既にそこで暮らしている人たちと何らかのコミュニケーションをとろうとするその気持ちは、学校で新しいクラスに馴染もうとする気持ちと同じようなものです。新しいご入居者様が古参の入居者たちに、好きなようにいじられるのを見て、人間社会には老いも若きもないんだなぁ・・と私は感じました。